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元リケジョがママになりました。

元研究者の、ちょっと変わった視点で見た「世の中」を綴ります。

おばさんはお洗濯をしていました。すると、どんぶらこと耐性菌が現れました。

カテゴリー無し。

 

ちょっと昔のことです。あるところにおじさんとおばさんがいました。おじさんは東京へ仕事に、おばさんは室内で洗濯物を干していました。

 

あるとき、おばさんはテレビで素敵なCMが流れているのを見ました。「除菌ができて部屋干ししても臭わない、洗濯洗剤」というものが発売されたそうな。

 

時は梅雨時。ちょうどお洗濯物の臭いが気になっていたところでしたので、おばさんは早速その洗剤を買い、使ってみました。すると、なんということでしょう!部屋干ししても嫌な臭いがしないではありませんか!おばさんは大喜びでその洗剤を使い続けました。洗剤が無くなると、同じ洗剤の詰替えパックを買い、せっせと詰め替えました。いつまでもいつまでも、この快適な暮らしが続くと信じていました。

 

1年ほどだったある日のことです。いつもと同じように洗濯をし、洗濯物を干し終えたとき、あの忌まわしい生乾き臭が戻ってきたのです。それからというものの、この洗剤を使う前と何ら変わらない、洗濯物の臭いに悩まされる日々に逆戻りしてしまったのです。おばさんは落胆しました。除菌効果のある洗剤を使い続けたことで、この洗剤に負けない耐性菌ができてしまったのでしょうか。菌が科学の脅威に打ち勝ち、いきいきと嫌な臭いを再び放ち始めたのです。

 

おばさんは諦めました。菌は進化し続ける。どんなに科学が菌を上回ったとしても、菌はたった一年でそれを超えてくる。おそらく、他の除菌効果のある洗剤を使用しても、いつかは耐性菌が出来てしまうことだろう。

 

おばさんは、洗剤を変えました。もう、除菌効果があろうが無かろうが関係ない、収納に場所をとらないものにしよう、と。

 

現在も、おばさんは洗濯物の生乾きの臭いには悩まされています。でも、あの時とひとつ違うのは「匂ったら煮沸する」という対処法に切り替えたということです。生地の縮みや色落ちすることもある、諸刃の剣です。それに、どんなに煮沸滅菌しても、次に使用したときに皮脂や汗、汚れが付着して、通常の洗濯で取り除けなければ、再び臭うようになるのです。それでも煮沸することで一旦は完全に滅菌し、臭いをリセットすることができます。ずっと菌がそこに居座って、使用したり洗濯したりするたびに潤いを得て元気になるより、スッキリするのです。

 

おばさんは戦い続けます。寸胴鍋でせっせと洗濯物を煮る。臭ったら煮る。臭ったら煮る。耐熱性菌が現れないことを願いながら。

 

おばさんの終わらない戦いをよそに、おじさんは今日も爽やかな服装で東京へ通い、せっせと働くのでした。

 

おしまい。